伊風についてAbout
伊勢神宮の歴史と共に生きる
木造建築の宿
伊勢神宮を目的地として古い様式の建物が並ぶ
歴史のテーマパークのような通りで
条例により意匠がほぼ決められており一つの建物というより全体として美しい
その昔 宿であったことから石原慎太郎も宿泊したとも言われている
リノベーションするにあたり
性能についての問題があった
現代の建物に比べて温熱環境が格段に劣る
「暑い」「寒い」をネガティブに捉えれば
壁や天井を
断熱材でカバーしてしまって
木製のサッシもアルミに替えるべきである
しかしそうすれば風合いは落ち
素材のアンバランスさで
美しさが損なわれかねない
何よりアルミサッシにより
外との結び目が明確に分断され
同時にこの地の神々しい空気感を
感じにくくなってしまう
必要最小限に
手を入れたほうが良さそうだと判断した
快適とは何か
木製サッシにはめられた薄い硝子は宿泊客を守る程よいフィルターとなり
虫の声や木々のせせらぎにより季節を感じさせてくれる
解体した壁から出た土で新しい壁の仕上げ材に利用したり
屋根裏に隠れていた丸太を剝き出しにしてよりノスタルジックな印象を出した
浴室やサウナから見える庭は
苔生した石と落葉樹で構成されていて四季を楽しんでもらえる
ありがちな再生方法ではあるが日本人の感性には一番しっくりくると思う
歴史を感じ五感を刺激する宿に生まれ変わった